北風と太陽
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北風は道行く人のコートを風を使って力ずくで剥ぎ取ろうとして失敗し、
太陽は気温を上げて道行く人が自分からコートを脱いでもらった。
この太陽のやり方が好きだったんだなあ。
幼稚園の時、僕は園内の離れにある図書室の本を友達と全部積み上げてしまったことがあった。
最初に来た先生は、怒ることをせず、
「そんなに上手に積み上げられたんだから、元に戻すのも上手に出来るよね」って言った。
僕らは気分良く自発的に片づけてしまった。
もし怒鳴りつけられていたら、泣きながら嫌々何倍もの時間がかかって片付けさせられていたと思う。
この一歩引いたところからの物言いが相手を動かす原動力になるんじゃないかなと思っている。
常々、写真を撮るときに思っているのは、被写体の気持ちを変えてまで良い写真を撮りたくない。
各々が普通にしているときにだってすごく素敵な表情やかたちをしているのにそれを撮らない手はない。
表情を言葉で誘導しないで、その人が良い表情やかたちをするまで待って撮る。
もちろん、その作業は大変高度ではあるけど、普段の素敵な写真というのは価値があると思う。
それは街の中で僕が勝手に見つけて撮る人(被写体)にも当てはまると思う。
街では被写体(知らない人)が嫌な気持ちになったり、
その人が僕が撮影してることに気付いてしまうこと街でカメラを持っているときには空気みたいな存在で、
「太陽」のやり方で撮影したい。