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2004年05月

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今日結婚式の撮影の仕事で八王子の日本閣に行った。
いつも撮影のときは遅刻しないように行くので一時間から一時間半前には着く。
時間は余るから必然的に時間を潰すために会場を歩くのだが、この一見無駄のようなこの時間が僕にとっては大切な時間であるただぶらぶら歩く時間がその場所の空間や空気に慣れるためにひつようである
。どこか初めて行った土地でも、この慣れる時間があると日毎に撮るものが自ずとやってくる。
これは撮っている時の気持ちだけのことで、日毎に写真も良くなるかというとそうではない。街に慣れようと必死で街に向かっている最初の頃にだって良い写真は撮れている。
カメラもフィルムもいつだって変わらないのであって、変わるのはそれを使う人の心であるのだろう。

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「インドの僧侶で一生を旅するだけに修行を費やす人がいる」
これは写真家の藤原新也がだれかとの対談で言っていた話しである。
旅をし続けるなんてスゴイとか思ってしまうけど、
もしそれが日常となったら、その僧にとっては一つの処に滞まることの方がすごいことなんだろう。
仏教の修行なんだけど、その人の表現方法は誰かに認めてもらおうとか、野心とかとにかく対人としての表現はまったくない。
自分の修行であり、認められようという野心とは別の次元で修行が続けられていくのだと思った。
僕はその話を読んだとき、旅をし続けるなんてことは出来ないけれど、
表現というものも目指すところはやはり認められる事ではなく、
続けていく中だ自分が自分の中の表現を認める事だと思った。
まあ実際の話むずかしいけれど、心にマタタビ僧侶を持っていたいと思う。

週刊イリエフォトvol.1

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今まで撮った写真を週一回くらい勝手に解説しようと思います。

open.jpg

この写真は2000年にロンドンの大英博物館に社会見学で来ていた小学生の集団を撮ったもの。
ロンドンに写真を撮りに5日間くらい滞在したときのものである。
開館と同時に博物館に入り、1時間半くらいで表玄関を出ると社会見学に来ている小学生の集団がいた。
みんなが整列して先生の説明を聞く中で、一人だけふらふらとする子がいてなんだか妙にその子に引きつけられた。
眼鏡を少しずらし、セーターの肩を少しずらし、ジャンパーをだらしなく引っかけ、内股で、袋を股にやる。
普段は人の背中の方に引かれるのだけれど、その子だけは真っ正面から撮ってしまった。
この写真の子とはもう4年の付き合いになるので、秘かにチャーリーと名前を付けている。
この子はたぶん周りのみんなに愛されているんだろうなと勝手に遠い日本から思っている。
たぶんこれからもあんなに被写体とシンクロする瞬間はないんじゃないかなあ。

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今日、2年ぶりくらいで友達と会った。(というか家(工房)に突然尋ねて行ったんだけど。)
彼はマティーユといって、フランス人のオルガン職人で、2000年のグループ展で知り合った。
今年の個展の案内を送りたくて電話をしたけど通じなかったりで、気になっていたので行ってみた。ガルニエ社のオルガンは日本の教会やホールにたくさんあるけど、メンテナンス出来るのは彼しかいないので多忙というのはわかっていたのだけど、音信不通になる理由もないし、なんとなく付き合いが無くなるには惜しい友達だったからとにかく行ってみた。
工房に行ってみたら、相も変わらず、表でコーラ片手にタバコを吸っていた。もう5時近くなるのに
「ゲンキ?さっき起きたばっかりでもうあと一時間たったら仕事行かなきゃ」とまるで昨日も会ってるかのような会話を交わしてから、続けて「そういえばホント久しぶりだよね。何年ぶり?最後にあったのは目白病院でボクが骨折して入院してるときだね」と順序がめちゃくちゃなのも相変わらず。そんなところが好きなトコだけど。
彼が日本語の勉強をしていく課程でどう間違えたのか、ウニ→犬 犬→ウニ と反対に覚えていて、すし屋で「犬ください」と言い、誰かの家では犬を見て「かわいいウニですね。」
家でのことは良いとして、すし屋では、変なフランス人が日本人は犬を食べると思ってるよとすし屋の人たちに驚かれたんじゃないかなあ。

なんか、友達を一人作った、じゃなくて再生出来てとてもうれしい気分。

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ロンドンに留学して、3日目に馬泥棒と間違われた。
渡英後すぐに片田舎に住む知り合いのイギリス人夫婦の家に10日ばかりステイさせてもらった。
健康好きな旦那さんで、僕にジョギングをやたらと勧めてきた。
僕も運動は嫌いではないけれど、初めて行った異国の村で走ろうという頭はなかった。
でも、毎日しつこく言ってくるので、嫌な予感を抱えつつも、3日目についに走ってしまった。

黒のジャージ上下で。

走りはじめたらすぐに広々とした牧場になり、
風景も代わり映えしないし、そろそろ引き返そうかなと思ったときに馬が10頭くらい放し飼いでいた。
実は、馬10頭の放し飼いは初めて見た。
適度な運動の後で休憩の意味を込めて、ぼーっと10分くらい馬を眺めてからまたジョギングで岐路に付いた。ちょっと行ったところでパトカーが向こうからやってきた。こっちに来てから初めて見たし、日本のとはちょっと違うなあなんて思いながらすれ違うと、30秒位してから背後からクラクション
振り向くと、あれさっきすれ違ったパトカーじゃないか。
僕の先で車を停めけっこう大きな警官が降りてきて、
「ココで何してる?」と聞いてくるから
「走ってる」と正直すぎる返事をすると
「君は何処に住んでるの?」と職務質問(?)された。
「ここから近い知り合いの家に泊まってます」とかわいく答えると
「パスポートは?」
「持ってません」
(え?ジョギングするのにパスポート持ってる人なんかいたら教えてくれ!)
「じゃあおじさんが送ってってあげるから乗りなさい(意訳)」とデカイ警官
デカイ図体のくせに助手席の書類を神経質そうにまとめてた。
パトカーの助手席に乗ると、
「君が馬を見ていたという通報があって、呼ばれてきたの、この辺は怪しい人が多くてね。」
(なに?じゃあオレは馬泥棒と間違われたってことなのか?)と心で思っていると
警官は続けて
「ステイ先で君の身分証明が出来れば問題ないから。」
で、ステイ先到着
警官がインターフォン越しに詳細を説明し、おばさんが微笑みながら出てきて
黒のジャージの僕を引き取ってくれた。
今度から気をつけなという感じで僕の肩をポンとたたいたが、
僕はあれ以上もあれ以下も気を付ける事は出来なかったし、
これっぽちの馬に対する盗みたいという気持ちはなくジョギングしてただけなのに疑われちまった。
不運としか言えない。その気持ちを通報する直前の家の窓のカーテンの隙間から僕を監視していた農家の人に伝えたかったなあ。
あんなに身の潔白が自分で証明できないのはもどかしかった。

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