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夕方、歩きながら目星を付けていた宿に行きすんなり決まる。
パスポートを後で持ってきてと言われたので、部屋で探すがない。
リュックに入れるはずがないのになんでだろうと思い返してみると、
イオス島に着いたときに換金かなんかでパスポートをシャツの下のポーチから出して、
旅中初めてリュックにしまったことを思いだした。
カメラとともに盗られたのだけど、
あの時はカメラのショックとパスポートは胸にあると思い込んでいたから気付かなかった。
ベッドの上で力いっぱい手を組むことしかできなかった。
ちょうどキリスト教が神に祈るかたち。
不安と後悔と自己嫌悪の極致では手を組んででもいないと自分が消えてしまいそうな感覚にとらわれた。
住所不定無職身分証明無し知り合い無し所持金少々という状況になった。
まず何をしたらロンドンや日本に帰られるのかがわからない。
しょうがないからまず宿主に事情を説明して前金で泊めてもらうことにした。
それから、どうしたらいいか情報収集ということで、
島のインフォメーションセンターに行った。
日本大使館に電話してくれ、ぼくに電話を渡してくれた。
大使館員の言うことには、
まず島の警察で紛失届けをもらい、
それを持ってアテネの大使館に来てパスポートの再発行手続きをしろとのことだった。
電話を切りその人にお礼を言い、
警察署に行って「パスポートがなくなったので紛失届けを下さい」と言うと、
「英語が使える人は明日来るから、明日になったら発行できる」と言われた。
英語で言ってるし、次の日まで待つのは嫌だったから何度も食い下がったのだけど、
「とにかく明日だ」の一点張り。
しょうがないから次の日の朝一まで待った。
次の日の9時に行くと警察署の前の道でバイクを持ってる少年が15人くらいいた。
どうやら免許の実技試験らしい。のどかな試験だった。
少年たちは例外なく緊張しているのがわかりやすかった。
スクーターなのに転ぶ子が続出。
それはそれでかわいらしかった。
警察署に入って受付に行くと
「もう書類を作っといたから」と言って書類を渡してくれた。
昨日くれよーと思いながらお礼を言ってすぐに旅行会社に行き
一番早いプロペラ機でアテネに向かった。
プロペラ機は飛び始めから、壊れたのかと思うくらいの爆音で操縦室のドアがバタンバタン開閉してた。
客室も30人だし。
でも、1時間弱でアテネに到着。
すぐに大使館へ

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船に乗り真っ暗な海を進む事4時間で念願のミコノス島に到着。
ホテルの客引きが港を埋めていた。
僕は最初からちょっとでも値段が高いと思ったら、
風車の軒下で野宿しようと思って寝袋を持ってきていた。
何人かの客引きが声をかけてきたが、
夜の11時ということもあるがほとんど脅しに近かった。
「この値段でなければ宿なんかない」
「これを逃したらキミは宿なしになるぞ。」
こちとらハナっから野宿覚悟だからあまり悔しくなかったけど、
泊まる気でいる人には辛辣な言葉だろう。
着いた時には乗客と客引きでごった返してたのに、
ものの30分で客を車に乗せて去り、
ひとっこ一人いなくなった。
真っ暗闇の中、一人取り残された。
予定通り高台の風車まで歩いていき、寝袋に入り寝た。
カメラを盗られたショックで疲れていたのか、すぐに深い眠りについた。
朝、ものすごい風の音で目が覚めた。
海から吹き上がる風の通り道になっている所だったようだった。
雨もパラついてきたし、荷物をまとめて街を歩くことにした。
朝の五時。
ミコノス島の朝は遅いようで、
小一時間歩いたけど、
活動してる人はパン屋さんだけだった。
朝はそこのパンを食べた。
しっかりしょっぱくて美味しかった。
その日は一日中カメラのなくなった少し軽いバックパックを背負って歩いた。
昼過ぎ、がまんできずインスタントカメラを買い寝床にした風車なんかを撮った。

< つづく >

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「もうすぐホテルオーナーの彼は日本語の翻訳がしてほしい。」
今となっては無理のある話しだと思えるけど、
その時は暇だし人助けと思ってやるかという気になってしまった。
「ホテルはすぐそこだしギリシャのコーヒーをいれるから、おいでよ。あとで島を案内するし」
とこんなありふれた文句にひっかかまんまとホテルのロビーまでついていってしまった。
そこで誘い通りコーヒーを入れてもらいパンフレットの翻訳をした。
翻訳が終わり雑談をしながら、
ウーゾというギリシャの強いお酒を試してみるかと台所で5分くらい過ごした。
台所に行く直前に男は僕を残して洗濯場に5分くらい行った。
なぜか二人の話し声がして、戻ってきたらお酒を勧めてきた。
台所に行く直前外からロビーに別の男が入って来るなり、
びっくりした様子で僕を見てオーナー男になにやら一声かけてからすぐに出ていった。
誰?と尋ねたら、
弟だと。
10分くらいお酒を飲んでから、男は丁寧にコップまで洗った。(時間稼ぎ)
それからちょっとしてから彼の写真を撮ろうとカメラをリュックから探すが見つからない。
その様子を見て、男は早すぎる感嘆の言葉を連発。
パニックの僕には怪しすぎる怪しさに気付けずじまい。
さっきのベンチに戻るがあるはずはない。
「警察に行きたい。連れてってくれ」と頼むと、
ここでは盗られたものは出てこないから無駄だと何度も言う。
(盗った本人が言うんだから間違いないだろう)
情けないけど僕もその時は頼ってしまっているし気は動転してるし、
そんなものかなと思ってしまった。
島で美味しいレストランといわれる小さな店に連れて行かれ、
美味しいんだか、
美味しくないんだか、
安いんだか、
高いんだかわからん味のギリシャ料理を食べました。
その後、港まで送りに来てくれました。
今思えば警察に行かないかの監視だったのかも。

< つづく >

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